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善きことをした高校生達
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絶滅危惧種トウサワトラノオの研究・保護・復活に貢献
栃木県 小山北桜高校 農業科学部5人の2年生
>この学校を詳しく知ろう栃木県下第二の都市として躍進を続ける小山市。日本最古の歴史を誇る高級絹織物「本場結城紬」(国の重要無形文化財)の生産地として知られる同市に、県立小山北桜高校がある。1918(大正7)年創立の同校生徒は、郷土愛が深く、地域の自然や環境を守る活動に積極的に取り組んでいる。その中で注目されているのが、絶滅危惧種のトウサワトラノオの研究・保護活動だ。
トウサワトラノオは、サクラソウ科の多年草で、栃木県内では1955年6月、宇都宮市下横田町の河畔で採取された後、見つかることはなく、2003年の栃木県版レッドデータブックで絶滅と判断されていた。全国でも愛知県の一部で生息が認められているだけで、環境省レッドデータブックでも絶滅危惧種最高の「IA」ランクに指定されており、「ごく近い将来、野生での絶滅の危険性が極めて高い」と位置づけされている。
しかし、06年6月、旧南河内町の江川・五千石地区(約300ヘクタール)内にある民有湿地で、県が圃(ほ)場整備事業の生態系調査を進めていたところ、数千株以上も群生しているのが発見され、07年6月に県立博物館などの調査で、約50年ぶりに確認された。
県と市が保全活動に努める中、小山北桜高校がトウサワトラノオに関する研究活動に着手したのは09年春。06年の発見後、株数が年々減少、開花や発芽も徐々に減ってきたことを知ったため。09年にはほとんど咲かなかったという。
研究にあたっているのは、同校の農業科学部2年生5人。まず5人は、人工栽培に取り組んだもののトウサワトラノオの詳細を記述した文献はなく、専門家も見当たらなかった。そのため、県外の植物専門機関を訪ね情報を収集するなどの調査・研究を重ねてきた結果、今年、開花を成功させ、基本的な生態を確認した。
この秋、同部では栽培した株を生息地に移植。研究では「個体数減は土地乾燥化に伴う他植物侵入によるもの」と分析した。
また部員は、これらの研究成果を報告するため、8月3日、小山市役所を訪ね、広瀬寿雄市長に面会した。今年はたくさんの花が見られたとの報告を受けた市長は、「いったんなくなりかけた花が皆さんの努力で復活した」と話し、生徒の地道な研究が、トウサワトラノオの保護に大きく貢献していることを高く評価した。
農業科学部のメンバーは、「また花が見られるようになったのはうれしい」と言いつも、「希少な植物。みんなで守っていかなくては」と話し、今後も保全・復活のために率先して研究を進めていきたい、と意欲を見せていた。
(2010年10月掲載)
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